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なぜリケジョは肉食か

ここでは、「なぜリケジョは肉食か」 に関する記事を紹介しています。
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第1話

 わたくしは理系である。中学を卒業してからというもの、ずっと理系学校、製造業、研究職、ずうっとである。

 であるゆえ、当たり前であるが、女性は周囲にごく少ない。いまでも女性恐怖の感があり、妻と娘の異様に鋭い勘におびえつつ生きているわけである。わたくしの居場所はこの狭い書斎にしかないわけであり、リビングで落ち着くことなどできないのである。

 いまでも、と言ったゆえ学生時代はことさらである。学級には女子は数人ほどで、大モテなのである。なので、彼女らが(最近ではこの言葉はセクハラ、なる用語にて激しく糾弾されるゆえ、使いにくいのであるが)醜女しこめであろうが、性格に問題があろうが、ちやほやするわけである。

 このような過程を経て、彼女らは実に堂々たる肉食獣に変身するわけである。わたくしは実に恐ろしい、そうおもう。思うだけならよいのだが、どうやら行動にも出ているらしく実に“してやられた”という指摘を受けたりするわけで、余計に被害妄想に陥っているわけである。

 わたくしの学級には数名の女子がいたが、学生期間の間に、まあ、次から次へとクラスの男子を食っていくわけで、それはまた驚異というべきである。人を「草食野郎」などと罵る前に、君たちの行動はいったいなんなのだ、倫理はどうなっているのだ、そう指弾したいわけであるが、実際にはしない。

 かくして、理系学校は野生の王国のような体をなすのである。ナショナル・ジオグラフィックのビッグキャット・スペシャルみたいである。最近では、「驚愕!戦慄!野生動物の決定的瞬間 総集編」というのを見たがそれである。

 いや、恐ろしい。
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第2話

 そんなリケジョたちであるが、男社会の内部にいると次第に集団化してきてメシもトイレも一緒に行くわけでる。気色悪い、連れションかよ、などと言ってはならない。報復攻撃を覚悟するというのなら話は別であるが。まあ、報復攻撃にもいろいろある。わたくしとて我が身は大事ゆえ、詳しく延べるわけにはいかないが、敢えて言うなら第二次大戦中のドレスデン大空襲のような一方的集団爆撃を受けるわけである。

 だいたいだ、トイレの内部で話なんぞはじめるわけで、それが大抵、誰かの悪口ときているからたまらない。彼女たちの声は次第に大きくなってくるわけで、「あははは!」などと人を嘲るような嬌声まで飛び交う始末である。

 トイレの隣はある教授の部屋なのであるが、

「あのハゲ、生理的に受け付けない」

「そーそー、臭そうだし」

 などと、当人が隣の部屋にいることなぞ忘れて話してるわけである。居室の教授はご機嫌斜めで、次は彼女らのクラスの講義である。全く、困るのである。なぜならその教授がご機嫌斜めのまま、講義を始めると大抵は男子学生に被害者が生ずるのである。

 当の教授がいうわけである。

「A君、君にとってこの方程式を導くのは実に簡単だが、黒板に書いてみてくれたまえ」

 その方程式というのは、解くのも難易度の高い微分方程式である。A君は答えに窮する。すると教授は言う。

「まったく、君たちはなっとらんね。勉強というものを甘く見過ぎだ」

 などと、のたまい、すらすらと方程式を解いてしばらくはA君を侮辱する言葉を投げつけるのである。A君にしても、すでに習ったことになっている方程式を解けなかったわけで、言い返しようがない。

 ところがである。これが女子であったらどうであろうか。

「うーーん、わかんなーい」

 それこそ、「○○細胞はありまーーす」みたいな声である。

「そうか、君にヒントをあげよう。この式は次のように変形して……」

 などと教授ときたらまるきり態度が異なるわけである。実に小癪であり、俗にいうのなら「しゃらくせえ」わけであり、かつなんともストレスフルなのである。
第3話

 化学の学生実験ではペアで実験することが多い。つまり、女子と男子のペアが発生することがある。

 これは彼女らにとって恰好の草刈場である。なぜならば、化学の実験ではピペットなるものがあり、薬品を口で吸い込むガラス管があったりし、いちいち拭いてから自分が使うのも相手に失礼なので、そういった触れあいが増えるからである。

 わたくしは器用であったゆえ、極めて短時間で実験を終え、自宅に戻って昼寝などしてるわけだが、中にはとてつもない不器用者がおり、これがまた男女ペアだったりするわけだ。実験が終わるまで帰してはくれないから、阿呆なことに深夜までやっていたりする。わたくしの学校は北の方にあり、冬の深夜は寒いし雪が数十センチも積もっている。なおかつ学内は林や原っぱであったりするので、帰宅に難渋するのである。

 彼、彼女は実験が終わると、大層苦労して原野を抜け、学外の街の中に出る。吹雪の日なんか、そこでもう歩きたくなくなるわけであるが、地べたに寝たら凍死してしまうのでとりあえず近い方の家に避難するわけだ。

 北国の家は強力なストーブとコタツのおかげで快適である。そこで、鍋などはじめようと女子が言ったりするわけだ。これはもう一種の罠であり、言われるがまま鍋なぞ一緒につついてそのまま泊まるわけだ。ここで、何が行われるか、わたくしには詳細に書けないわけであるが、簡単に言えば手込めにされ、丸め込まれてるわけであり、ようするに「そういうこと」である。

 その夜の感想について、当該女子からの報告により、学科どころか学部中の女子に翌日昼前までには伝わっており、みんなの知るところとなる。男子学生はかくして彼女の奴隷と化するわけであるが、それでやめておけばいいのにそうではない。

 実験ペア変えは、成績評価の上で不公平をなくすため、半期に一度実施される。そうしてまた新たなターゲットが犠牲者となるわけであり、報告の標的とされるわけだ。企業の四半期業績報告じゃあるまいに、定期的に成績を争ってるかのようであり、実に恐ろしいわけである。
第4話

 まだ、ある。

 例えばだ、高大一貫の理系学校があったりするわけだ。そこに入学したはいいが、次第に肉食化し、そろそろ二年、三年経つうちに男子学生を食ってしまう。同じ学校の男子を食ってるならまだよい。

 あろうことか、その手の映像作品に出てしまったりするのもいるわけだ。わたくしたちが彼女らの欲望の増幅装置として働いているかと思うと、若干悪い気もするが、どうやら当人はそう悪い気分でもないらしい。まあ、その手はそれでよい。

 で、真逆なのもいるのである。真逆というのをこれから説明するが、少々やっかいな説明になる。要するに、男子とばかり勉強したり遊んだりしてるうちに、男性化してしまうのがいるのである。そういう女子は、つるんでる女を見て「気色悪い」と思うようであり、とはいえ当人をはたから見て気色良いか、といわれるとそうでもない。

 まず、朝、長靴を履いて学校に来る。ジーパンはいて頭はボサボサのショートである。やおら、実験室の水道でじゃぶじゃぶと石けんで頭を洗い始め、「ぷはー、気持ちええー」などと言っており、片足を膝の上にのっけて椅子にのけぞってるわけだ。しばらくすると、コンビニで買った握り飯なぞ食い始め、ことのほかやる気なさそうに牛乳で流し込む。

 周囲の男子も彼女も単なる仲間だと双方思っているので、気にもしない。すると、その女子は夏というもあるのか、あー暑い、などと一言いって、Tシャツ一枚になったりする。その部分にプロテクターはつけていないため、すけすけであるが、周囲も動揺しないし、自分も気にしない。

 そんなことをしてるうちに、卒業の時期を迎え、企業に就職したりするわけだ。さすがにまずい、と感じるのか、容姿を整えたりし始めるがもはや遅い。考え方が完全に男化しており、意識改革からはじめなければならない。

 しかしながら、そろそろ三十過ぎになるとどうでも良くなるのか、再び元の状態に戻るわけだ。わたくしはそういう女子を部下にもったことがあるが、まあ気は楽であるが、ちょっとはどうにかせよ、と、言いたい言葉を我慢して、能力だけは優秀であるから持ち上げるわけである。で、いずれかは組織替えなどで、わたくしのもとからは去って行く。

 そうして、しばらくすると、結婚式の案内状が来たりするわけで、仰天するのである。まあ、そういうのが趣味の男性もいるわけで、仲睦まじいのであるから、どうこう言う問題ではないが。

 しかしだ、果たしてこれでよいのか、という疑問をわたくしは持ったりもするのである。
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