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丹沢山塊放浪記 その5

ここでは、「丹沢山塊放浪記 その5」 に関する記事を紹介しています。
明け方、菊地が気分が悪いと言い出した。そして、吐いてしまった。誰も心配してない。なぜなら菊地は疲れると必ず吐いてしまう人だから。でも、もう山から降ろさないとまずい。石田が中島に言った。
「悪いけど、ユーシン沢から菊地を連れて降りてもらえないか」
「わかったよ、もういつものことだから」
菊地は、ポリタンクの水をがぶがぶと飲んだ、そんなに飲むなよ、また吐くんだから。
「俺、中島と先に帰るから」
なんでまた、いつもだし親友だからしょうがないけど、と中島は思った。朝食も食わずに携帯食とシュラフ、ナイフ、水筒だけ持ってザックに入れ、中島と菊地は下山を始めた。田口は中島のウイスキーを強奪して、しめしめ、と思っていた。石田、田口それに合田は元気そうで、ソーセージをぐちゃぐちゃにして食っている。

これで残りは三人だ。誰が最後まで山中湖に到達できるんだろうなあ、と中島は思った。まあ、少ない人数の方が行動速度は速くなる。すでにヒマラヤ登山では極地法とよばれる大部隊での山岳登山は時代遅れで、少人数で素早い行動をする手法が流行り始めていた。それに、檜洞丸から先は、正直、一日数人しか通らないような道になる。道だってあるかどうかは分からない。菊地がついてこれないのは見えている。

中島は先を案じたが、ユーシンから降りる俺達には関係のないことだ、と思いはじめた。この沢を下りるのは初めてだが、割と楽なルートだと聞いている。菊地も下りなら歩けるだろうし。菊地はまた吐いている。水飲みすぎなんだよ。それにしても、やたらとこいつは吐くな、と中島は思った。菊地は寒いといいだしてゴアテックスのカッパを着込んだ。

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