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丹沢山塊放浪記 その6

ここでは、「丹沢山塊放浪記 その6」 に関する記事を紹介しています。
菊地が下山しているころ、石田、田口と合田は尾根道を歩いて檜洞丸を目指していた。ブナ林が多く、壮観であった。ブナの樹肌は実に美しく、古い木ほど色々な模様が浮かび上がって、しかも木の間が開けて下草も少ないので爽快な気分になる。また尾根道なので大きな高低差もない。勿論、意外に山体が大きいので高低差はあるはずなのだが、大倉尾根を登坂したあとなら大したことはない。

それほど時間もかからず、蛭ガ岳に到着した。合田が写真を撮った。合田はいつも自分だけは写真に撮られるのを嫌がる。なぜかは分からない。本人は魂を抜かれるから、などとほざいている。蛭ガ岳では多くの時間は使わず、行動食(昼食は普通とらないのが山歩きする人のパターン)を食いながら檜洞丸まで目指した。

非常に美しいブナ林が広がっていき、夕方前三時くらいには檜洞丸に到達した。近くに小屋があり、当時は運営しているのかどうか分からないが人気がなかった、小屋の周辺には木製のテーブルと丸太のイスが置いてあった。三人で喜んでいたら別の登山隊がやってきた。合田が突然騒ぎ出した。同級生が登山隊にいるというのだ。めずらしいこともあるもんだが、趣向が似てるから友人になったのだろう。合田は驚くと阿呆な声を出す。「ホー、ホー」。相手のご友人も似たようなもので奇声をあげていた。やたらと二人で話をしていたが、なんのことやらわからない。田口は黙ってウイスキーを飲んでいる。石田は石田で風景に見とれている。低山でここまで美しい山もあるもんだ、と。

夕食は餅入りラーメンにした。力ラーメンというやつだ。まともな飯を食って、非常に三人は満足した。ツェルトもちゃんと三角テントのように張り、シートも敷いて快適な寝場所を確保した。割と遅くまで起きて話をしていた。次の日のルートを変えたいと、石田が言いはじめたからだ。要するにこうだ、石田はビールが飲みたいから西丹沢まで降りて、ビールをしこたま買う。そして、東海自然歩道から山肌に沿って上昇していき、尾根ルートを目指す、というわけだ。

わざわざ、ビールのために、と田口は思ったが「まあ、いいんじゃないかな、俺もそろそろウイスキー切れてきたし」と賛成気味だ。合田は比較的その場に流されやすいので、説き伏せられてしまった。こうして、やめておけばいいのに東海自然歩道に突入していくことになった。中島がいれば絶対に反対したであろう。まあ、その日は三人ともそんなことなど知らず、熟睡した。


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