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丹沢山塊放浪記 その8

ここでは、「丹沢山塊放浪記 その8」 に関する記事を紹介しています。
東海自然歩道はとぎれとぎれに、頼りなげに続いていく。踏み後をたどりながら、心の内側とは正反対に大声で歌をうたう。やがて、ほんとに崩壊している部分にさえ差し掛かった。
「まずいぜ、これさあ、道というより自分たちの位置を予測しながら歩いてくしかない」と石田。田口は答える「俺、地図ちゃんと読めるから、大体このあたりのはずだぜ、それに三角点とか出てくるだろうしな」「じゃあ、行くか」
更に前進していくことにした。

道は時々、踏み後が見えるがガケとなっては仕方ないのでトラバースして、回り込む。それからルート探索だ。そのうちに、非常な大発見を石田がしてしまった。

「おい、こんな滝、地図に書いてないじゃないかよ」確かに見事な滝だ。たっぷり20メートルくらいはある。その上部は岩場になっており、滝口自身は人が跨げるほど狭い。しかし、滝口の前は浅いプール状になっている。さらにプールの上部にはちょっとした小川が流れ水を供給している。ざーーーっという滝の音が近づいてきた。
「あそこ、平らな岩場だしさあ、時間も時間じゃない、今日はここに泊まることにしようよ」
「ああ、のども乾いたし、そろそろビールのみたいしな」
何言ってんだよ、と合田は思いながらも冷たそうな水を見て、思わずビールを冷やしたい、と思いはじめてしまった。
「そうしましょう。じゃあ、ビールは一番上の方に入れるから手伝ってくださいよ」「わかった」
何を馬鹿なことしてるんだろう、という発想は全くなかった。熊より目の前のビールを優先している。合田たちはビールを取り出して小川のところに入れ始めた。水を飲んだ合田は「うめー、うまいっすよ、この水。さすがだよ丹沢」「どれどれ」二人も近づいてくる。まだ二時くらいだ。十分に遊んでいる時間はある。三人はあわや遭難という事態にもかかわらず水遊びなぞしているわけである。

やがてビールが冷えてきた。高かったEPI製ガスコンロでコッフェルに湯を沸かし、レトルトカレーを入れ、ついでにパックご飯も温める。「カレーとビールかあ、こいつはいいねえ」上機嫌である。水は冷たく、ビールはすぐに冷えた。プシュッという音をさせて三人がタブを開け、乾杯した。カレーもすぐに出来上がり、ビールを堪能し、カレーも堪能した。やがて、日が暮れそうになってきたので、ツェルトを張り、寝ることにした。ホントにこいつら、と中島がいれば考えたであろう。幸いなのか、不幸なのかここにはいないのだが。

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