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短編小説 空沼岳 北海道の春 その2

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平成の大合併前、札幌市は日本でも有数の広さをほこる市であった。たしかに都市ではあるのだが、南区とよばれる地域はほぼ山林と平原からなる部分が多く、手付かずの自然が残っていた。よくキタキツネが歩いていて、観光者が餌をあげるものだから、犬みたいになついてるのもいた。ヒグマが出没したこともあったらしいが、これは怖いらしい。ツキノワグマなんて目じゃないほどでかいのだ。そんな、南区も観光開発が進みつつあり、サイクリングロードの整備や学校の敷設が実施されてきた。

空沼岳はそんな南区にあり、都市近郊の美しい山として愛好者は多かった。その割にはアクセスが悪く、相変わらず自転車とかバイクで行く若者も多くいた。私たちは貧乏だったので、バイクなど持っておらず(持ってはいたがまともに動いた試しがない)自転車でどこへでも行った。三田村は生意気にもスポーツサイクルを持っており、こちらも負けじと中古屋で値切ってスポーツサイクルを購入した。今なら捨ててあってもおかしくないほど酷い代物ではあったが。

次の日の朝、三田村がうちに来て行こう、というので朝も早かったが行くことにした。ペースの遅い三田村が付いてこれるか心配だったからだ。三田村は長そで長ズボンにシューズ、私も似たようなものでコッフェルとガスストーブは持って行った。日帰りなので、デイパック一つで身軽である。北区から南区に行くのは、当時は駅を大きく迂回しなければならず、交通量の多い道を走ったため、自然とは別な意味で怖かった。しかし、すぐに札幌市を流れる豊平川沿いの自転車ロードを使い快調に目的地を目指した。どう見ても三田村の自転車の方ができが良く、追いつくのに苦労した。さらにサイクルロードを離れ、山の麓に到着した。「ここらに自転車停めよう」「そうだね、それにしても誰もいなそうだけどどうなんだろう」「季節がちょっと早すぎたかな」「だってさあ、山見てよ、雪だらけだぜ」なんとなく不安になってきた。


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